545 【本】『吉祥寺の朝日奈くん』
今年は仕事関係以外の本もたくさん読もう、
というのをテーマにしておりまして、
小説にもあれこれ手を出しております。
で、本日読了したのが、
『吉祥寺の朝日奈くん』(中田永一著)。
これ、自社本であります。
自社本のことを書くのはどうかなあ、という気もしないではないのですが、
とにかく、とても面白かったのです。
その勢いで書いてしまいます。
恋愛小説5編が収録されている短編集です。
(1本はちょっと長いですが)
主人公は高校生や大学生、せいぜい20代半ばの人たちで、
とにかく若い。
そして描かれる恋愛も、すべて、
これから始まる、あるいは始まったばかり、
というところで終わります。
すべて主人公の視点で描かれているので
(「私」「僕」の視点で話が進んでいく)
これはつまり、
主人公が新しい恋に直面するところで終わるわけで、
読後感がとてもいい感じなんですよね。
しかし、
この短編集、単なる恋愛小説で終わっていません。
どれも、ひとひねりがあるのです。
高校生の交換日記、と思って読み進めたら、すぐにとんでもない展開になる超絶技巧の「交換日記はじめました!」
(交換日記がどんどん変質していくのが面白い)
時系列をわざとずらしたことで、ラストの1行にニヤリとしてしまう「ラクガキをめぐる冒険」
(主人公の恋愛の相手、ホントにちらっとしか出てきません)
コメディとしか思えないのに、やはり最後でグッとくる「うるさいおなか」
(このタイトルは、『蹴りたい背中』のパロディ?)
人妻との淡い恋愛を描いているのかと思いきや、終盤の怒涛の展開にひきずりまわされる表題作
(これ、書きようによっては完全なサスペンスになるのでは?)
そして、普通の恋愛小説に最も近いと思われる「三角形はこわさないでおく」にも、
あのシーンはこういう意味があったのか、と思わせる描写があります。
いい恋愛小説を読んだなあ、という満足感と同時に、
「こういう意味だったのかあ」と作者の伏線に感心し、思わず再読したくなる。
そういう作品群であります。
満足、満足。
【本日のアマゾン】
・『語りかける中学数学』ランクイン。これは朝日新聞記事の影響か。
・『斎藤一人の人を動かす』ランクイン。
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