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2021年4月 3日 (土)

編集者は順番のストックを作っておくといいと思います、という話。

Img_1240

 

昔、文庫編集部で小説を担当していたことがあります。

新人、あるいは新人に近い方に、

文庫書き下ろしのミステリーをお願いすることもありました。

 

そんなときによく言っていたのが、

「殺人シーンは早めに出してくださいね」

 

派手な場面をできるだけ前の方に持ってくる。

それで読者の興味を引いて、読んでもらう。

 

読者との信頼関係が築けている作家さんなら、

少々面白くないシーン、地味なシーンが続いても、

信頼して読み進めてくれると思います。

しかし、そういう関係ができていない新人の場合は、

面白いシーン、興味を引きそうなシーンをできるだけ前の方に持ってきて、

読者に「面白そう」と思ってもらう。

 

要するに、話し方の順番が大事。

 

突然何をいい出したかといいますと、

最近読んだ新書2冊、どちらも話し方の順番が気になったのです。

 

どちらも、面白いこと、大事なことが書かれてるんですよ。

でも、そこに到達するまでが長い。長過ぎる。

 

著者さんにしてみたら、この順番が大事、ということだと思いますが、

ミステリーに例えるならば、登場人物の説明にばかりページを割いて、

殺人事件がなかなか起きない感じなのです。

私だったら少々強引でも殺人シーンを冒頭において、

そこから回想シーンとして本来の出だしにつなげるなあ。

 

つまり、どういう順番で見せるかは、

編集者がアドバイスすべきだと思うんですよね。

 

特に、読者との関係がまだ築けていないであろう新人著者さんの場合は。

 

もちろん、順番を変えてもおかしくないようにするんですから、

お原稿をきっちり読み込んで、あれこれ考える必要がありますが。

 

一番もったいないのは、面白いシーンに辿り着く前に、

読むのをやめられることじゃないですか。

で、その人が「この本、面白くないよ」と周囲の人に言ったとしたら、

マイナスのクチコミが広がってしまう。

 

どういう順番が面白いのか。

それを勉強するのには、実は映画がいいんじゃないかと思います。

 

映画の冒頭、特にヒットしている映画の冒頭がどうなっているか、

いろいろ見ておいて、「順番のストック」を自分なりに作っておくといいと思います。

 

幻想的なシーンから始める、

夢から始める、

わけのわからないシーンから始める、

もちろん時系列通りのものもあると思います。

いろんなパターンを知っておくことが大事、と思います。

 

写真は本文と一切関係なく、

最近食べたポテトチップス。美味。

 

 

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