『あと十五秒で死ぬ』がとんでもない設定すぎて楽しい。
先日、フジテレビの「世にも奇妙な物語」で放送していた、
「あと15秒で死ぬ」
これって、東京創元社から出ている『あと十五秒で死ぬ』(榊林銘著)の中の、
「十五秒」のドラマ化なんですよね。
『あと十五秒で死ぬ』という本はフェイスブックやツイッターで評判を目にしていたので、
以前から気になってました。ドラマも面白かった。
というわけで、本を購入し、読んでみることに。
4本の中短編が収録されている作品集です。
死の直前の15秒間で自分を殺した犯人に復習しようとする「十五秒」(ドラマ化されたのがこれ)、
テレビドラマから目を離していた15秒でドラマのヒロインが何故か急死、その理由を推理する
「このあと衝撃の結末が」、
15秒後に交通事故で死ぬという不気味な夢を何度も見る女の子を描く「不眠症」
つまりこの作品集、書籍のタイトル通り、「15秒後に死ぬ」という設定が共通しているのです。
とんでもない設定を考えるなあ。
しかし、一番とんでもない設定なのは、最後の
「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」でしょうね。
首が取れても15秒間は死なない、別の人と首を交換しても死なない、
(というシンプルな説明だけでわかっていただけるのだろうか)
というありえない設定で起きる殺人事件を描いてます。
ありえない、というかとんでもない設定で起きる殺人事件を極めて論理的に解決する。
これって山口雅也さんの『生ける屍の死』を連想させますが、
ラストの大技(というのかなあ)は、島田荘司さんの某有名作品を連想しました。
この大技(といっていいのか)を描きたいがために、ここまで書いてきたんじゃないかしら、
と思いたくなるほど、残酷かつ豪快かつ爆笑モノのシーンです。
この作品だけは、この描写があるからテレビドラマ化は無理だろうなあ。
映画化は可能かも。
その一方で幻想的な(でもやっぱり論理的に説明がつく)「不眠症」もあり、
この作家さん、作風の幅が広いなあ。と思ったのでした。
これだけ完成度の高い作品集を出してしまうと、
2冊めのハードルはどうしても高くなりますが、
それだけに、読まなくちゃ。今から楽しみです。
あ。今年の1月に発売された小説を6月にドラマ化、という
フジテレビもすごいんじゃないでしょうか。
似たタイトルに「12秒」がありますが、
これはHKT48の名作なんで。