濃厚な読書体験ができた『鳩の撃退法』上下
ここ数日かけて読んでました、『鳩の撃退法』。
上下巻に分かれていて、1巻が500ページ以上。
つまり1000ページ超えの小説を読んだことになるわけで、
1週間くらいかかったんじゃないかなあ。もっとかな。
読みやすいし、次はどうなるの? という引きも強いので、
長かったけれど、とても楽しい時間でした。
単行本が上梓されたときに話題になってました。
今年、映画化されると聞き、
じゃあ公開前に読んでおこうと思ったのですが、
結局、先週の公開には間に合わなかったなあ。
といった話はともかく。
不思議な話です。
ストーリーは、というか起きる事件は実はシンプルでして、
偽札をめぐるお話。主人公である作家・津田の視点で描かれます。
ただ、この津田が小説を書いていることに自覚的で、
時間の流れからいってこのエピソードを書くべきだが後で書く、
この原稿を書いている今はいつで場所はどこで、
といったフレーズがしばしば出てきます。
さらに、この小説の原型となっている(らしい)原稿を、
編集者に読ませて感想を聞く、というシーンも出てくる。
それらを通して、今読んでいるのが小説であることに、
読者も意識的にならざるを得ない。
小説とはなにか、を考えさせる小説、といいましょうか。
時系列が複雑で、その結果、
「あ、この人はあの人だったのか」
「このエピソードはあの伏線かあ」
と何度も思いました。
この快感は、小説を読む醍醐味かもしれません。
あ、時系列は複雑ですが、読みやすい文章なので、スルスル読めます。
で。
最終的に、「人は思いがけず誰かとつながっている」という、
文字にすると凡庸な結論を、しみじみと味わいました。
と書いてきましたが、この本の面白さを、
伝えてますかね…?
映画では主人公が藤原竜也さんとのことで、
ちょっとイメージが異なるのですが、
そして何より、この複雑な時系列の話をどう画いているのか、
映画が気になります。今度は映画館だ!
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