『三千円の使い方』は面白くてためになる小説です。
先日、『3千円の使い方』(原田ひ香著)を読みました。
仕事柄、ノンフィクションを読むことが多く、小説にはなかなか手が出ません。
しかし、この小説は帯に「10万部突破!」とあり、
ネット書店アマゾンでもしばしば100位以内に入っていて、
文庫編集者としては気になっていたのです。
読んでみたら、非常にシンプルな感想ですが、面白い。読みやすい。
売れているのも当然、という気がしました。
どこかでドラマ化、してくれないかしら。
できればおばあさん役は草笛光子さんで。
お話は6話構成で、親子3代の女性たちが、お金とどう付き合っていくのか、
それぞれを描いています。
この、祖母・母・娘たちという主人公の設定がよいですね。
読者としては誰かに感情移入しやすい。
ものすごい事件が起きるわけではないのですが、
逆に、日常をきちんと描いているので、その点でもすっと入っていける。
節約ネタがバンバン出てくる、というわけではないです。
少しは出てくるのですが、それよりも、生きること全般に対する知恵といいましょうか、
生き方のコツみたいなことが描かれてます。
だからでしょうか、印象的なフレーズも多いのです。
「それ(家計簿をつける)ができるだけの教養と意志があった主婦が戦後日本の復興を支えたのではないか」
「いつからでも、どこからでも始められるように備えておくことが誰でも必要なんじゃないかな」
「人は三千円の使い方で人生が決まるよ」
最後のセリフは、本書の冒頭に出てくる祖母の発言で、
本書のタイトルにもなってますが、たしかにそうだなあ、と。
あ、そうそう、脇役と思っていた人たちが後半で重要な役をしたりして、
登場人物たちに対する著者の視線が優しいのですよ。
そういうところも、読者に伝わってくるんですね。
編集者として興味深かったのは、著者の最新刊の宣伝のミニチラシが、
中に入っていたこと。帯にも新刊のことが入ってます。
文庫で単行本の宣伝をするというのは、シンプルですが一番効果的ですよね。
ミニチラシまで入れる、というのは自社でも真似できないかなあ。
« ゲーム感覚で1分でも短く。 | トップページ | 忙中閑あり。落語あり。 »
「本の記録」カテゴリの記事
- 『すてきなおみせの包装紙レターブック』の素晴らしさを語りたい。(2022.05.27)
- 『すごいタイトル㊙︎法則』はタイトル会議の前日に復習すべき本。(2022.05.16)
- 『理系の仕事術』で時間管理について改めて考えてみた。(2022.05.09)
- 『もじモジ探偵団」はフォント好きにたまらない1冊。(2022.04.14)
- 『佐久間宣之のずるい仕事術』は自社の若手社員に読ませたい仕事本だった。(2022.04.12)
コメント