『なんとかしなくちゃ』は一気読みの面白さでした。
先日読んだ『なんとかしなくちゃ』。恩田陸先生の新刊です。
面白かったなあ。
最初に見かけたのは、丸善丸の内本店さんだったと記憶してます。
カバーデザインが斬新で、面白そうだなあと思ったのですが、
買うまでには至らず。
ただそれはそれとして、やはりカバーデザインは大事ですね。
書店店頭で目立ってました。
その直後、週刊文春の書評で見かけ、これはやっぱり面白そうだわと、
購入しました。
週刊誌の書評で買う気になったのは、久しぶりな気がします。
梯結子という主人公の設定が面白いのです。とても魅力的。
目の前の気持ちの悪い状況を解決する、その能力に優れているのです。
4歳から、その能力を発揮します。
彼女の幼少期から大学卒業までを描いています。
おそらく、続編が出るはず。
この小説の面白いところはもう一つありまして、
書き手である恩田さんが「私」として、しばしば出てくるのです。
主人公の言動に合わせて、すっと「そういえば」と出てきて、
自分の考えや蘊蓄を語った後、またすっと本筋に戻る。
この融通無碍な感じがとても面白い。
東北大学に行ったときの思い出や、朝ドラの話がすっと出てくるんだよなあ。
なんだか得した気分になります。
ただこれ、よほど技量がないとできない技のような気がします。
そしてこの著者登場が最大の効果を発揮するのは、最後。
1巻で終わらせるはずがそうならず、2巻に続きます、という経緯を、
著者自ら説明するのですが、ここまで「私」が何度も登場しているので、
まったく違和感なく読めるのです。
はっ! まさかそうなることを逆算しての「私」登場だったのかな?
いやいや、週刊誌連載だったんだから、それはないはず。
ともあれ、著者語りがスッと出てくる、面白い小説でした。
続編、いつ頃出るのかなあ。
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