『いまも談志の夢をみる』は落語好きには面白い1冊。
吉川潮さんの『いまも談志の夢をみる』が面白いです。
落語立川流の顧問をしていた人、というのは知っていたのですが、
顧問ということでなんとなくかなり高齢の人と思っていました。
談志師匠より年上なんだろうな、と。
実際は、談志よりもひと回り年下。実務的なことを担当する顧問、だったとのこと。
実際、立川流の落語会のプログラムを決めたり、
弟子の昇進試験に立ち会ったりしていたようです。
談志師匠を弟子ではない立場で見ていた、稀有な存在です。
談志師匠、優しい人だったんだなあ。
吉川さんのご母堂に書いたハガキ、というのが出てくるのですが、
その文面がとても優しいのです。
まあ、弟子から見たらまた全然違うのかも、ですが。
上の方にさらりと書きましたが、
立川流は前座から二つ目、二つ目から真打ちに昇進する際に、
試験がありました(談志亡き今はそうでもないようですが)。
落語協会を飛び出した経緯を考えると、試験を行うというのも納得なのですが、
かなり厳しい条件なのです。
そのため、試験に通らない弟子も出てくる。
ところが談志師匠は優しいから、そんな弟子でもなんとか昇進させたい。
なんというか、自分で決めたルールで苦しむわけです。
で、吉川顧問に相談して、なんとか昇進できるようにする。
そういうシーンが何度か出てきます。
落語好きとしてはかなり興味深い。
あ、そうそう、「弟子が売れたのは、師匠に恵まれたことも大きな要因」
というフレーズが出てきまして、談志と志の輔、一朝と一之輔、小三治と三三、
といった名前が出てきます。これはそうだろうなあ。
最終的に、吉川氏は顧問をやめるのですが、
その経緯も、興味深いです。
面白い本だったなあ。落語に興味のある者には。
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