『世にもあいまいなことばの秘密』で日本語の面白さを再確認する。
言語学者・川添愛さんの『世にもあいまいなことばの秘密』を読みました。
正月の東京新聞に川添さんと俵万智さんの対談記事が載ってまして、
これがとても面白かったのです。
昨年12月の新刊です。売れているようです。
帯のイラストがかなりインパクトあります。
きのこ先生というらしい。
「この先生きのこるには」という文章を、
「この先、生き残るには」ではなく、「この先生、きのこるには」と誤読し、
「きのこるとは?」と悩んだ川添さんの実体験をイラストにしたものです。
本書はこのように、川添さんご本人が誤読した、あるいは誤読するだろうなと思った、
実際の文章を紹介し、なぜ誤読を招くのか、つまりなぜあいまいなのか、
解明した1冊です。
こういう文法チックな本はとても好きです。
しかも、ガチガチの文法書ではないので、専門用がほぼ出てこないのがありがたい。
「私には双子の妹がいます」
「政府の女性を応援する政策」
「2日、5日、8日の午後が空いてます」
これらのあいまいさと、あいまいにならないための工夫。
読み進むうちに、日本語に強くなった気がしてきます。
きのこ先生のようなイラストだけでなく、
ところどころに問題を置いて読者に考えさせるという工夫もあり、
この手の本を面白く読ませる編集の点でも、勉強になりました。
川添さんは「日本語はあいまいだからダメ」と言っているわけではなく、
むしろあいまいだから面白い、悪いものではない、
という立場。それも嬉しいことでした。
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