本の記録

後輩へのメモ

2024年5月16日 (木)

『ひとつの祖国』はリーダビリティがすごい!

貫井徳郎さんの『ひとつの祖国』を読みました。

ハードカバーで500ページ以上あります。手にするとなかなかの迫力です。

というわけで、読む前はちょっと躊躇したんですが、

読み始めるとページをめくらせる力が強い。

リーダビリティというやつですね。

これが凄いのです。このあとどうなるの? の連続です。

 

そもそも、設定がかなり特殊。SFというか、パラレルワールドというのか、

戦後日本が東西に分割統治されていた、という世界なのです。

ベルリンの壁崩壊でドイツが統一したように、日本も統一。

しかし依然として強烈な経済格差が東西にはあり(ちなみに西が栄えてます)

不満分子が東日本独立を画策する。

 

そういう状態の日本が舞台です。

この設定が納得できないと、あるいはぴんと来ないとつらいですが、

逆に、この設定さえ納得出来たら、後は極上のエンタメが待ってます。

 

テロリスト集団に巻き込まれる主人公の心理描写。

連続殺人事件の犯人捜し。

突然始まる逃走劇。

「なんで?」と「なるほど!」のバランスが絶妙で、

もう少しだけ読もう、もうちょっとだけ読もう、となります。

そして最終的には、人はなぜ争うのか、どうしたらそこから脱することができるのか、

というかなり深遠な問題を考えることに。

深いわあ。

 

残り100ページを切ったあたりから、

「この小説、どうやって決着するのかな」と思っていたら、

納得のラストになりました。

と同時に、残り100ページを切ったあたりから、

魅力的な人物がどんどん増えます。

かれらの活躍をもっと読みたい、という気持ちになりました。

続編希望! 無理かなあ。

2024年4月24日 (水)

『このプリン、いま食べるか? ガマンするか?』で自分の時間の使い方を振り返る

いろんな書店で平積みされてる垣内尚文さんの新刊、

『このプリン、いま食べるか? ガマンするか?』

カバーのプリンのイラストが凄く印象的です。

 

実はプリンについての言及はそれほど多くないのですが、

本文でもプリンのイラストが効果的に使われていて、

とても手に取りやすい印象です。

 

今回のテーマは「時間」。

『パン屋ではおにぎりを売れ』では考え方、

『バナナの魅力を100文字で伝えてください』では伝え方。

毎回、食べ物がカバーにドーンとイラストで入っているのが特徴です。

 

ただし、前2冊がかんき出版だったのに対して、

今回は飛鳥新社から。

他社でもアプローチできるのかあ。

 

時間術とか時短ノウハウというよりは、

時間についていの考え方の本です。

(時短ノウハウについても言及してますが)

 

「幸福の時間」をいかに増やすか。そのための考え方が説かれています。

「やるも選択、やらぬも選択。どちらを選んでも後悔しない」

「人生は立てた時間でできている」

「自分のスケジュールに幸福の時間を先に入れる」

「1日を24時間でなく16時間で考えてみる」

「もしこれが人生最後の〇〇だとしたら。と考える」

…印象的なフレーズがかなりたくさん。

定年後の私は幸福の時間が増えてると思うのですが、

手帳の使い方がまだまだ甘いなあ、と思います。

 

編集者視点で興味深かったのは、上記の通り今回、版元が違うんだということに加え、

各章のはじまり。

これは現物を見ていただくのが一番わかりやすいですが、見開きの穴埋め問題になってます。

その賞を読み終わると、すべて埋められるようになってますし、

結果的にその賞のまとめ的な内容になる。

これはすごくいいと思いました。

 

 

 

『このプリン、いま食べるか? ガマンするか?』で自分の時間の使い方を振り返る

いろんな書店で平積みされてる垣内尚文さんの新刊、

『このプリン、いま食べるか? ガマンするか?』

カバーのプリンのイラストが凄く印象的です。

 

実はプリンについての言及はそれほど多くないのですが、

本文でもプリンのイラストが効果的に使われていて、

とても手に取りやすい印象です。

 

今回のテーマは「時間」。

『パン屋ではおにぎりを売れ』では考え方、

『バナナの魅力を100文字で伝えてください』では伝え方。

毎回、食べ物がカバーにドーンとイラストで入っているのが特徴です。

 

ただし、前2冊がかんき出版だったのに対して、

今回は飛鳥新社から。

他社でもアプローチできるのかあ。

 

時間術とか時短ノウハウというよりは、

時間についていの考え方の本です。

(時短ノウハウについても言及してますが)

 

「幸福の時間」をいかに増やすか。そのための考え方が説かれています。

「やるも選択、やらぬも選択。どちらを選んでも後悔しない」

「人生は立てた時間でできている」

「自分のスケジュールに幸福の時間を先に入れる」

「1日を24時間でなく16時間で考えてみる」

「もしこれが人生最後の〇〇だとしたら。と考える」

…印象的なフレーズがかなりたくさん。

定年後の私は幸福の時間が増えてると思うのですが、

手帳の使い方がまだまだ甘いなあ、と思います。

 

編集者視点で興味深かったのは、上記の通り今回、版元が違うんだということに加え、

各章のはじまり。

これは現物を見ていただくのが一番わかりやすいですが、見開きの穴埋め問題になってます。

その賞を読み終わると、すべて埋められるようになってますし、

結果的にその賞のまとめ的な内容になる。

これはすごくいいと思いました。

 

 

 

2024年4月10日 (水)

『アクロイド殺し』の笠井潔さんの解説に痺れた!

昨年だったか、名探偵ポアロが登場する小説は30冊ちょっとしかないと知り、

それならば1冊目から読んでみましょうかね、ということで読んでおります。

で、先日読了したのが『アクロイド殺し』

 

おそらく、「意外な犯人」として世界的に有名な古典です。

読んだことなくても、犯人が誰か、知っている人は多いのではないかと思います。

というか、犯人が誰か、全く知らずに読み始めることができる人は、幸せだわ。

 

私、若い頃に読んでまして、再読にあたって犯人が誰か最初からわかってましたが、

それでもやっぱり面白い。麻雀が出てくるシーンなんかあったのね。

 

ポアロが出てくるミステリーとして3冊目で、かなり初期なんですね。

長編小説としても6冊めだったそうです。

その段階でこれだけの大技を思いつき、形にしたクリスティは、

やはりただものではないです。

 

3冊目、というところがポイントで、

ポアロが出てくるミステリーはヘイスティングズ(ホームズにおけるワトソン)が

記述する、ということを読者が認識しているからこそ、面白いんですよね、

このミステリー。

 

読み終わって、解説の笠井潔さんの解説を読んで痺れました。

この小説の凄さは「意外な犯人」にあるのではなく、

別のところにあるのだという指摘。

それが何かを書いたらネタバレなので書けないですが、

「なるほど!」と納得しました。

目からウロコと申しましょうか。

古典的ミステリーの見方が変わりました。

この解説もすごい!

2024年4月 3日 (水)

新書の宣伝です。『何が教師を壊すのか』

Naniga

 

ここのところ、フェイスブックライブの記事多めになっております。

井下田久幸さん新刊の販促の一環ということで。

 

その一方で、新書も編集しております。

というか、新書編集がメインなのです、私の立場的には。

というわけで、昨日見本本ができたのが『何が教師を壊すのか』朝日新聞取材班著です

朝日新聞の連載「いま先生は」を再編集して1冊にまとめました。

 

オビに大きく「現場はここまで疲弊している」と入れたんですが、

これは、お原稿を読んだ私の素直な感想です。

 

学校の先生、忙しいというのは何となく承知していましたが、

想像以上に大変なんですね。

部活指導、モンスターペアレンツ、教員不足問題。

それらの根本にある「定額働かせ放題」を可能にしている給特法の実態。

 

私が衝撃を受けたのは、

「妊娠は夏以降に。保護者の心証が悪くなる時期は避けて」と管理職に言われた先生のお話。

そんなわけで、読んでいるとだんだん気が重くなるのですが、

工夫と話し合いを重ねて働きやすい職場にした実例も最後の方に出てきて、

かすかな希望を感じます。

 

というわけで、4月12日発売の『何が教師を壊すのか』

新聞連載ならではの、「学校のリアル」がわかる1冊です。

(今回はまるまる宣伝回でした)

 

 

 

 

2024年1月23日 (火)

『世にもあいまいなことばの秘密』で日本語の面白さを再確認する。

言語学者・川添愛さんの『世にもあいまいなことばの秘密』を読みました。

正月の東京新聞に川添さんと俵万智さんの対談記事が載ってまして、

これがとても面白かったのです。

昨年12月の新刊です。売れているようです。

 

帯のイラストがかなりインパクトあります。

きのこ先生というらしい。

「この先生きのこるには」という文章を、

「この先、生き残るには」ではなく、「この先生、きのこるには」と誤読し、

「きのこるとは?」と悩んだ川添さんの実体験をイラストにしたものです。

 

本書はこのように、川添さんご本人が誤読した、あるいは誤読するだろうなと思った、

実際の文章を紹介し、なぜ誤読を招くのか、つまりなぜあいまいなのか、

解明した1冊です。

 

こういう文法チックな本はとても好きです。

しかも、ガチガチの文法書ではないので、専門用がほぼ出てこないのがありがたい。

 

「私には双子の妹がいます」

「政府の女性を応援する政策」

「2日、5日、8日の午後が空いてます」

これらのあいまいさと、あいまいにならないための工夫。

読み進むうちに、日本語に強くなった気がしてきます。

 

きのこ先生のようなイラストだけでなく、

ところどころに問題を置いて読者に考えさせるという工夫もあり、

この手の本を面白く読ませる編集の点でも、勉強になりました。

 

川添さんは「日本語はあいまいだからダメ」と言っているわけではなく、

むしろあいまいだから面白い、悪いものではない、

という立場。それも嬉しいことでした。

 

 

2024年1月17日 (水)

井上新八さんの『続ける思考』で継続の重要性を学ぶ。

祥伝社時代にお世話になったデザイナー、井上新八さんのご著書、

『続ける思考』。

ご出版されたというのは昨年終盤にネット情報で知ったのですが、

なかなか購入のタイミングがなく、今年になってようやく丸善丸の内本店さんで買いました。

 

井上さんは、主にビジネス書のブックデザインをたくさんなさっています。

あ、この本もそうなのね、というくらい、質量ともにすごいです。

(と私がいまさら言うまでもないんですが)

 

井上さんの趣味は、「継続」。

いろんなことを継続されてます。

毎日納豆を食べる、毎日ダンスの練習をする、毎日ジョギング、

というあたりで「うわっ」となりましたが、一番びっくりしたのは、

「毎日1冊本を読む」

これは真似したいけど、真似できないなあ。

せめて納豆食べる、かしら。

 

絶対に何でも続くすごい方法として、井上さんが大文字で書いているのが、

「毎日、やる!」

おお、そうか。そうだよね。と激しく納得しました。

 

私も現役時代、続けることができたことが少しだけありますが、毎日やっていたことだもんなあ。

 

他にも「小さなことを意識的にやる」

「集中した5分は決して短くない」

「ない時間は朝に作る」

「記録が継続を加速させる」

などなど、「お!」と思えるフレーズがいろいろ出てきます。

継続が趣味、とおっしゃるだけあって、非常に参考になります。

 

ところで。

井上さんが、毎朝、ものすごい数のルーティンをこなしている、

というご自身のnoteの投稿が、数年前に話題になりました。

2019年のことらしい。4年前かあ。

その時に、出版企画にならないかしらと思ったのですが、いい切り口が見つけられませんでした。

「やりたいこともやるべきことも全部できる」というフレーズが付いた「続ける思考」というタイトル。

こういう切り口ならよかったのか! と、その点でも勉強になりました。

続けたいのに続けられない人はたくさんいるわけで、

その人のための本にすればよかったんだ。

2024年1月12日 (金)

米澤穂信さん『氷菓』の面白さにいまさらながら気づく

今年最初の投稿です。

昨年から、出社してからさささっと書くことが多く、

正月以降、自宅で書いてませんでした。

今週から職場に通ってますが、長い休み明けということでやることがいろいろあり、

気づいたら金曜に。びっくり。

 

それはさておき。

昨日、『氷菓』を読みました。

米澤穂信さんのデビュー作。

 

昨年末に米澤さんの『可燃物』を読んでみたら面白くてびっくり。

米澤さんの他の作品も読んでみよう、それならデビュー作でしょ、

ということで読んでみたわけです。

 

こちらも、とても面白い。

高校1年生が主人公で、彼の周辺で起きる「日常の謎」を解決する連作集、

と思って読んでいったら、途中から予想外の展開になります。

そんな話なのか!

 

「日常の謎」を解決する連作短編集は、かつて東京創元社からいろいろ出ていて、

私は好きでした。そういう1冊なんだなあ、と思っていたんですが。

 

手がかりだけで論理を展開していく構成、

解決したと思ったらさらにその先へ、という展開。

読みごたえがありました。

 

最後の最後、続きがあるような終わり方ですし、

著者の後書きも、続きがあるみたい。

第2作も読まなくちゃ。

 

現役編集者時代は、目先の企画や仕事のため、大人の事情で読む本が多かった。

定年退職した今も仕事は続けてますが、時間の余裕は間違いなく増えてますので、

気になった著者の本をあれこれ読んでみる、という今回のようなことを、

さらにやっていきたいと思います。

エルキュール・ポワロシリーズも読破したいんですよね。

 

米澤さんのご著書、何冊くらいあるのかしら。

2023年12月26日 (火)

ようやく読みました、『今日、誰のために生きる?』

ひすいこたろうさんの新刊『今日、誰のために生きる?』を拝読しました。

11月に出た本なので、本当はもっと早く読むべきなんですが、

なんだかせわしなく時間が流れ、この年末になってようやく、という感じです。

読み始めたらとても面白くて、一気読みでした。

 

本書はペンキ画家SHOGENさんとの共著です。

前半は、SHOGENさんがアフリカで学んだ「人の生き方」を、

アフリカの人たちとのエピソードを交えて説明しています。

 

後半はそれを受けて、日本でどうやって実践するかを、

ひすいさんが解説してます。

 

アフリカの話がとても魅力的で、あたかもファンタジーのよう。

それを今の日本でそのまま真似するわけにはいかない、というか非常に難しいわけですが、

ではどうするか、というエッセンスをひすいさんが詳しく説明している構成が素晴らしい。

 

ひすいさんの長年のファンは、ひすいさんの集大成の1冊、という印象を受けるかも。

私は、そうでした。

 

ここ数年、ひすいさんは地球にいろんな意味で危機感を抱いていて、

なんとかしなくちゃ、という思いで動いている。そんな印象を受けるのです。

そのひすいさんの前に強力な助っ人として登場したのがSHOGENさんと、

彼のアフリカでの知見。そんな気がするのです。

 

ひすいさんのベストセラーに『あした、死ぬかもよ?』があります。

そのアンサーソングのようなタイトルも、面白い。

 

本書の企画は、廣済堂出版の編集者さんが、ひすいさんのYouTubeを見て発案されたとか。

つまり、「そこ」にあったんですよね。

それを見落としていた私が、我ながらふがいないです。

 

 

 

 

2023年11月24日 (金)

運がいい人はゲームを降りないーー『科学がつきとめた「運のいい人」』を読んでみた

今回は、最近読んだ本の感想です。

『科学がつきとめた「運のいい人」』(中野信子著)です。

書籍編集者のブログなんですから、そもそも、

読書の感想はもっとアップすべきなんですよね。

読んだら読みっぱなし、面白かったあ、で終わることが多いのです。

 

フェイスブックの落語グループに、

見に行った落語会の感想を書くことがあります。

書かないこともありますが、書いた会のことは、

日が経っても、かなり明確に覚えてます。

書くって、やはり大事なんだなあ。

 

というわけで、中野信子先生の

『科学がつきとめた「運のいい人」』

 

運がよくなる本、というのは昔から需要があって、

然るべき人が出せばそれなりの数字になっている、という印象があります。

この本は、そんな中でもひときわ売れている、という印象です。

 

本書は、「運」について著名な脳科学者が、

科学的にアプローチしている点が面白い。そして説得力があります。

前書きに「これまでにどこかで聞いたことのある行動や考え方もあるでしょう」

とお書きになっている通り、「あ、知ってる」というノウハウが多いです。

しかし、それを科学的根拠に基づいて説明しているのが、本書の新味だと思います。

 

印象的だったフレーズを書き出します。ノウハウばかりで、その科学的根拠は省きますが。

 

「声に出して『運がいい』と言うのがおすすめです」

「運のいい人は積極的に運のいい人とかかわる」

「品のある行動がよい結果を生む場合が少なくない」

「他人のよさを素直に褒める」

「ゲームを降りないことーー。運がいい人はここを徹底しています」

「運のいい人はより多くの人のために祈る」

……最後の方で「祈り」について多めに説明しています。

ここはもう少し勉強しなくちゃ。

 

あ、そうそう、編集者的に見落とせないことがありまして、

本書は2013年に単行本で出て、その後、2019年に文庫化されたものを、

改めて新書サイズで出版しています。

「運」についての本がたくさん出ているこのタイミングで、

いわば復活させたわけです。その編集者さんのセンスが素晴らしい。

と思います。

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