本の記録

後輩へのメモ

2023年11月24日 (金)

運がいい人はゲームを降りないーー『科学がつきとめた「運のいい人」』を読んでみた

今回は、最近読んだ本の感想です。

『科学がつきとめた「運のいい人」』(中野信子著)です。

書籍編集者のブログなんですから、そもそも、

読書の感想はもっとアップすべきなんですよね。

読んだら読みっぱなし、面白かったあ、で終わることが多いのです。

 

フェイスブックの落語グループに、

見に行った落語会の感想を書くことがあります。

書かないこともありますが、書いた会のことは、

日が経っても、かなり明確に覚えてます。

書くって、やはり大事なんだなあ。

 

というわけで、中野信子先生の

『科学がつきとめた「運のいい人」』

 

運がよくなる本、というのは昔から需要があって、

然るべき人が出せばそれなりの数字になっている、という印象があります。

この本は、そんな中でもひときわ売れている、という印象です。

 

本書は、「運」について著名な脳科学者が、

科学的にアプローチしている点が面白い。そして説得力があります。

前書きに「これまでにどこかで聞いたことのある行動や考え方もあるでしょう」

とお書きになっている通り、「あ、知ってる」というノウハウが多いです。

しかし、それを科学的根拠に基づいて説明しているのが、本書の新味だと思います。

 

印象的だったフレーズを書き出します。ノウハウばかりで、その科学的根拠は省きますが。

 

「声に出して『運がいい』と言うのがおすすめです」

「運のいい人は積極的に運のいい人とかかわる」

「品のある行動がよい結果を生む場合が少なくない」

「他人のよさを素直に褒める」

「ゲームを降りないことーー。運がいい人はここを徹底しています」

「運のいい人はより多くの人のために祈る」

……最後の方で「祈り」について多めに説明しています。

ここはもう少し勉強しなくちゃ。

 

あ、そうそう、編集者的に見落とせないことがありまして、

本書は2013年に単行本で出て、その後、2019年に文庫化されたものを、

改めて新書サイズで出版しています。

「運」についての本がたくさん出ているこのタイミングで、

いわば復活させたわけです。その編集者さんのセンスが素晴らしい。

と思います。

2023年10月31日 (火)

『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』は内容はもちろん、本作りの点でも勉強になる1冊でした。

あれ? この本のこと、ブログには書いてませんでした。

と、今気づきました。フェイスブックには書いたのですが。

先日呼んで、とても面白かったのが、

『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』。

 

著者の安達裕哉さん、ダイヤモンド社から出ている

『頭のいい人が話す前に考えていること』がとても勉強になったので、

こちらも読むことに。

 

メインの読者層は若い人だとも思われます。

私より、むしろ私の子供に読ませたい1冊。

この本を読んで会社に入ったら、ずいぶん違うと思うんですよね。

 

それでも、シンプルに、面白い本でした。

「やってみたいは迷信、やってみたは科学」
「仕事をするときは常に最初に案を出す」
「人間は無為、ヒマに耐えられない。だから努力しているほうが楽」
「努力する才能なんてものはない。そこにあるのは工夫だけ」

などなど、印象的なフレーズがあちこちに。

 

対話形式で話を進める、

巻頭に折り込みを付ける、

網点の効果的な使い方など、

本作りの上でも参考になるところが多々ありました。

 

上野駅構内の書店で衝動買いしたんですが、衝動買い、いいじゃないか!

2023年10月25日 (水)

ひすいこたろうさんの『奇跡はこうしてやってくる』は可愛いけど深い1冊。

フェイスブックにも書いた、本の感想です。
ひすいこたろうさんの単行本『今日、誰のために生きる?』が猛烈な勢いで売れてるようです。
そんな中、私が本日読了したのは、ひすいさんの文庫の新刊『奇跡はこうしてやってくる』。
祥伝社から今月出ました。吉武大輔さんとの共著です。
幸せな人生を送るためには誰かと繋がる必要がある。
自分一人では奇跡は起きない。ということを、
ひすいさんたちの実体験やユングの考え方を紹介しながら説明しています。
誰かと繋がるためには、今の自分を自分が認めることが大事らしいです。
最近(でもないか)「強運」になるための指南書がいろいろ出ていますが、
自分一人では無理だよ、と言っているところが、とても説得力があると思います。
では、他人と繋がるためにはどうしたらいいか、
というところまで書かれているのもありがたい。
ひすいさんの文章、今回も読みやすい。
面白くてためになる1冊。
文章の読みやすさに加えて、ジグソーパズルの写真が随所に入っていて、
これがとても可愛らしい。いい感じなんですよね、
私、祥伝社でひすいさんの担当をさせていただいてましたが、
この文庫に関しては全て後輩が担当しました。
他社本の文庫化なので、その交渉から始まるわけで、いろいろ大変だったことと思います。
単行本の時とタイトルを変えてますが、良いタイトルになったなあ。と思っております。

2023年10月11日 (水)

『糖質中毒』読了後、体重が1、9キロ減った話。

久しぶりの更新になります。10月になって初。

現役編集者時代は、朝、出社する前に書くようにしてました。

それもあって、基本的に6時半に起きていました。

定年退職後は7時起き。

築地の出版社に向かう時間が、これまでより30分以上遅いので、

ブログを書く時間はあるだろう、と思っていたんですが、

これが不思議なことに、なぜか取れない。

以前にも書きましたが、定年後の朝の時間割が、まだきちんとできてないんですよね。

もう半年近くなっているのに。

これは、寝る時間がいまだに遅い、ということも関係しているようです。

生活リズム、固めなくては。

夜12時に寝て朝7時に起きる。

そういう人に私はなりたい。

 

といった話はさておき、

先日、「糖質中毒」(牧田善二著)を読みました。

文春文庫で、2年ほど前の本。

体重がなかなか減らないなあ、どうしたらいいかなあ、と漠然と思ってまして、

仕事でお世話になっているライターさんのお仕事とお聞きし、

先日一気に読了したのです。

 

そうしたら、びっくりすることに、読了後1週間で1.9キロ痩せました。

我ながらびっくり。

 

甘い飲み物を一切飲まなくなったこと、

食事時に糖質の量を意識するようになったこと。

この2点くらいなんですけどね、読後、変わったことは。

 

厳密な糖質制限ではなく、朝は普通に玄米を食べてます。

昼夜にご飯を食べることもあります。

きちんと糖質の量を計算しているわけでもありません。

意識することが大事なのかな。

 

神保町勤務時代はご飯抜きの食事をできるお店が、

たくさんありました。

(吉野家とか大戸屋とか)

築地界隈は、なかなかないんですよね。見つけなくちゃ。

それが当面の課題。

 

そして、本を読んで体重が減らせたように、

生活リズムがバチッと決まるような、そんな本を読みたいものです。

 

 

 

2023年9月 1日 (金)

『かたちには理由がある』は謎解きのような面白さでした。

秋田道夫さんの新刊が出てる! 新書だ!

ということで迷わず購入、一気に読みました。

『かたちには理由がある』という魅力的なタイトルです。

 

秋田さんといえば、『機嫌のデザイン』がとても面白かったのです。

今回はご本業であるプロダクトデザイナーの仕事について、詳しく語っています。

 

最近、実によく見るようになった薄い信号機を始め、

一本用ワインセラーや湯飲みやルーペなど、

ご自身が作られてきた製品をテーマに、なぜその形になったのか、

いわばミステリーの種明かしのような感じで進んでいきます。

こういうのを読むのが大好きなので、とても楽しい読書時間でした。

 

秋田さん考案のルーペは独特の形をしているんですが、

説明を聞くと、その形が必然と思えてくるんですよね。

それが、上質の謎解きのような感じなのです。

 

「さまざまな条件をクリアしながら形を考える」というフレーズを読んで、

これは編集の仕事も同じかも、と思ったのでした。

 

「絶対造形感」「しつけのデザイン」というフレーズも、

印象に残ってます。

2023年8月30日 (水)

『世界でいちばん透きとおった物語』の凄さは読んでみないとわからない!

鹿児島帰省の際に何冊か本を持って帰ったのですが、

帰りの飛行機内で最後の1冊を読了。

羽田から自宅までの約1時間、読む本がない!

ということで、空港内の田辺書店で慌てて買ったのが

『世界でいちばん透きとおった物語」

 

売れているらしい、すごいトリックがあるらしい、

といった情報しか持ってなかったのですが、

いやあ、すごいわこの小説。

 

「電子書籍化絶対不可能」

というのが帯のキャッチコピー。

「映像化絶対不可能」という小説は存在しますが

(筒井康隆氏の『ロートレック荘事件』とか)

電子書籍にできないとはどういうこと?

本当かどうか確かめなくては。

 

と思いながら読み進めたんですが、確かにこれは、無理だわ。

できないことはないけれど、終盤に訪れる「ええ!」という衝撃が、

ものすごく弱くなるでしょう。

最後のページに隠されたメッセージに至っては、絶対に紙の本でないと無理。

 

紙の本でないと無理、というと、泡坂妻夫氏の有名な文庫書き下ろしがありますが、

読み終わってすぐにその本を思い出しました。

作り上げるのに、ものすごく時間がかかっただろうなあ、という点で。

作中に実名が出てくる京極夏彦氏の文庫も思い出しました。

(と書くとネタバレになるのか)

 

アイデアは思いついても、形にするのは全くの別作業な訳で、

本書の場合は特にそうで、それをきちんと実現したのは本当に素晴らしい。

しかも、主人公の葛藤や親子の関係がきちんと描かれていて、

つまり小説として楽しめる。

だからこそ、作家のアイデアに全く気付かずに読んでしまったし、

それゆえ、終盤でアイデアが明かされた時に「ええ!」と驚愕したのです。

 

いやあ、面白かった!

著者の杉井光氏の他の作品も読まなくちゃ。

2023年8月 7日 (月)

『走る道化、浮かぶ日常』の著者・九月さんとは何者か。

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定年まで勤めていた祥伝社から、最近でた本、

『走る道化、浮かぶ日常』

著者は九月さん。エッセイ集です。

事務所無所属のピン芸人、なんだそうです。

勉強不足で、この人のことを全く知りませんでした。

ツイッターのフォロワーが3万人以上とのこと。

勉強不足だわ、私。

 

こういう著者を見つけることが、編集者の大きな仕事と思っていまして、

「こんな面白い人がいるよ」と見つけてきて、世間にお知らせする。

その点で、この本の編集者はすごいなあと思います。

どうやって見つけたんだろう。

 

エッセイが18本入ってます。

いずれも、途中からぐっと加速する感じが面白い。

(うう、説明が下手だわ)

(とりあえずどれか読んで、と言いたいのですが、それは説明を放棄してるなあ)

 

「言われてみればそう そうとも言い切れないだろう」

この中間くらいを狙った、渾身の18編とのことです。

(帯に書いてありました)

 

ごく普通の話から始まって、ちょっと変なところに着地する。

それがいいなあと思うんですよね。

ものすごく異常な世界に行くわけではない。

 

「暗黒秘密結社『コーヒーブレイク』」が私の好みですが、

人によって好みは分かれると思います。

「目次まであと3ページ」という前書き(のようなもの)が非常に秀逸で、

3ページしかないので、すぐに読めると思います。

私はこれを読んで「お! 読もう。読まねば」と思いました。

この部分だけ、ネットで読めるようになってないのかな。

 

こういう新しい著者を見つけてくる、そして本にする。

祥伝社、いいですねえ。

 

 

 

 

2023年7月10日 (月)

『日本語が消滅する』で日本語の特徴を勉強しました。

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最近、日本語や言語に関する新書をよく見かけるような気がします。
『言語の本質』とか、本書『日本が消滅する』とか。
気のせいなのか偶然なのか。あるいはそういう流れなのか。
日本語論、ときどきブームみたいになることもありますが。
この本、タイトルのインパクトにびっくりしますが、
著者の山口先生は日本語学者として、かなり真剣に憂えてます。
消滅するかもしれないという根拠は、
人口が減っていることと、小学校での英語教育。
後者はかなり問題らしいです。
素人としては正直ピンとこない部分がありますが、
それはそれとして、へええと勉強になるところがいくつもありました。
「英語は使用頻度の高い千語を覚えれば8割は理解できるが、日本語は6割しか理解できない」
「日本語は時代を遡ると子音+母音構造が徹底しているので、
奈良時代は母音が連続しそうになると母音を融合させて一つにする。
例えば赤石はアカイシでaとiが二つ続くのでiを脱落させた」
知ってる人には常識なのでしょうが、こういうのがとても面白い。
頭がよくなった気がするんですよね。
日本語の発音や文法について2勝にわたって説明していて、
ここは非常に勉強になりました。
日本語については日本語を使っている人は何かしら書けるわけで、
それだけに、専門に研究した人の本が大事、という気がします。

2023年7月 4日 (火)

『「何もない」こそ最高の武器になる』から学ぶ3つの力

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ベストセラー瞬読シリーズの山中恵美子さんが自己啓発の本を出版される、
というのを耳にしまして、久しぶりにネット書店で予約購入しました。
オビにある「3つののこと」とは(序章にすぐ出てくるので書いちゃっていいと思うのですが)、
「観察力」「スピード力」「素直力」。
これらは、何歳からでもその気になれば育てられますよね、とも書いてあって、
「確かに」と思ったのでした。
この3つの力を使って、1億円損失した主婦が30校以上の塾を一代で築き、
本を出せばベストセラー、テレビ出演も多数、
さらに学校を開校して学院長に就任という、
サクセスストーリーの漫画の主人公のような半生になっていきます。
それを自ら詳しく述べてます。
「天才でなければ泥臭くなれ」
「人生、見切り発車でいい」というフレーズに、特にグッと来ました。
本作りの点でも、かなり勉強になりました。
冒頭の折れ線グラフ。斬新だわ。

2023年6月20日 (火)

ベストセラー『『頭のいい人が話す前に考えていること』を編集者目線で読んだら目から鱗だった

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『頭のいい人が話す前に考えていること』
この本、売れてますね。
ネット書店Amazonでずっと上位にいるなあと思っていたら、
最近の帯には「20万部突破」と入ってます。やはり、売れてました。
読んでみたら、確かに納得です。
タイトルも実に秀逸ですが(読みたくなりますよね)、
会話形式をビジュアルで入れている、
クイズで問いかけている、
イラストで惹きつける、
といった工夫が随所にあります。
特に前半多めで、ページを思わずめくってしまいます。
続きが読みたくなる。
「本書で目指したのは読み返さなくてもいい本」
というコンセプトも素晴らしい。
この手の本は「必要な時に何度でも読み返してください」と
書かれていることが多いんですが、
読者目線で考えるとちょっと大変。
それをこの本は「読み直さなくていい」と
書いているわけです。
いいね! と思います。
そのための工夫が巻頭の「話すたびに頭がよくなるシート」。
ここに、7つの黄金法則と5つの思考法という、
本書のエッセンスがまとめられてます。
これも、読者目線の便利な工夫ですね。
特に7つの黄金法則は、非常に納得です。
前書きは、
「質で勝負しなければならない時がやってくる」
「うまくいかないのはあなたのせいではない。方法を知らないだけ」
「その方法をこの本で教えます」
という流れになってます。
これは読まねば、という気になります。
というわけで、売れてる本にはそれだけの理由があるんだよなあ、
という当たり前のことを再認識したのでした。

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